山田朋人君の修士論文の成果が雑誌「サイエンス」に掲載!

 大気大循環モデル(GCM)は、地球温暖化に伴う長期的な気候変動研究にも用いられますが、日々の天気予報にも使われています。数ヶ月先の天気といった時間スケールの予測精度の向上には、従来から重要視されていた海面に加え、陸面の土壌水分等の影響を見極めることが、予測可能性の本質にも関わる近年の重大な課題でした。

 現在社会基盤学専攻博士1年生(沖・鼎 研究室)の山田朋人君は、修士論文でこの問題に正面から取り組むNASA主導の国際共同プロジェクトに参加し、東大気候システム研究センター等で開発されたGCMに手を加え、大量のデータを読み書きするIT技術に支えられ、陸面の土壌水分情報が精確に与えられた場合、どの程度降水の予測精度が格段に向上するかに関して、GCMを開発利用している世界の主要な機関と肩を並べて数値実験を行いました。その結果、いわば、エルニーニョ南方振動における熱帯太平洋の海面水温と同様、陸面の土壌水分情報が大気の降水活動に効率よく影響を及ぼしているホットスポットが、世界の半乾燥地帯の特定の地域に存在することが相互比較によって明らかとなりました。このホットスポットの発見は、GCMの予測精度向上や将来の気候変動予測研究にも資するものです。

 その成果は2004年8月20日発行の学術誌Scienceに掲載され、東大の成果として日本経済新聞や時事通信等を通じて報道されたばかりではなく、ロイターを始めとする世界各国の通信社・メディア等により世界中で報道されました。