プロジェクト型演習について

プロジェクト型演習について

社会基盤学は実践のための学問です。教室で得た知識を能動的に現実の問題に応用するためのトレーニングとして、2年次冬学期から3年次冬学期に至る一貫したプロジェクト型演習を用意しています。工学の本質を自然に習得できる基礎的な演習から、プランナーやデザイナー・マネージャーなど各職能を想定した専門的な演習まで、段階的に履修が可能です。

導入プロジェクト(2年次A1A2)

《概要》
社会基盤学科に進学後、最初に取組むプロジェクト型演習で、社会基盤学において最も基本的な問題解決の方法の一つである「設計」の意味や概念を体験的に理解する設計演習です。協力してひとつのものをつくりあげる技術者としての原体験の提供、多角的なもののとらえかたと表現力の訓練、チームワークとリーダーシップの実践、エンジニアリングセンスの養成などを目指しています。
《演習内容》
・古典的名橋の図面解読と構造模型(S=1/10)の製作
・構造設計、模型制作、載荷による検証など

基礎プロジェクトⅠ(3年次S1S2)

《概要》
都市計画・都市デザインスタジオにチームで取り組みます。ひとつの都市をとりあげ、中心市街地の空間計画に加え、周縁部の限界集落問題や臨海部の津波避難計画など、現地調査と定量的な交通データ分析や史料調査を下敷きに、文化的、歴史的背景を踏まえた計画提案までを行います。市長や都市計画事務所、行政担当者のロールプレイによる模擬ワークショップや外部講師による講評を通じて、プランニングセンスの涵養を図ります。

基礎プロジェクトⅡ(3年次S1S2)

《概要》
仮想の建設会社を設立し、社会基盤整備に関わる設計・積算・契約・施工・竣工検査といった一連のプロセスを疑似経験することで、コンクリート工学ならびに建設マネジメントについて学習する演習です。利益最大化の目的のもとに競い合う中で、コンクリート配合設計・施工技術、リスク管理、戦略的意思決定、交渉戦略などを実践的に学ぶことが出来ます。
《演習内容》
・仮想の建設会社の設立・経営
・普通コンクリート・自己充填コンクリートの配合設計と施工、性能検査
・設計に基づく積算と随意契約交渉
・60件の全国工事発注に対する入札シミュレーション
(一般競争入札、簡易型総合評価、高度技術提案型総合評価)

基礎プロジェクトⅢ(3年次S1S2)

《概要》
「自然を測る」ことをテーマに、屋内外の様々な測定・試験を通じて、現場の客観的なデータを取得する方法論を学び、理論が実物の測定とどの程度整合するか確認する。社会基盤学の専門家になるために、自然の環境条件や現象を定量的に把握し、正しい情報に基づいて技術的判断を行う姿勢を身につける。地盤・構造分野を題材にして、現地での計測を中心に据えた実習とする。
《演習内容》
・三四郎池周辺斜面の地盤調査
・斜張橋ケーブルの振動計測と状態推定
・荒川下流域の地盤沈下の要因分析
・地盤と地下水に関する模型実験

基礎プロジェクトⅣ(3年次S1S2)

《概要》
社会基盤を構成する最も重要な要素のひとつである”水”は、環境、利用、災害などの様々な面で我々の生活と密接に関わっている。より良い水圏環境を構築していくためには、自然現象を正しく理解し、ハードおよびソフトの両面における人為的な改変による影響を予測・モニタリングしながら、長期的視点にたった計画を講じていく必要がある。本演習では、室内実験と現地観測を通じて、水理学や河川・海岸工学の理解を深め、実験や観測に必要な技術を習得する。
《演習内容》
・現地調査1:浅川河川測量実習(河川の基礎知識、河川地形測量、流量計測、実際の流れを対象とした水理学演習)
・現地調査2:葛西臨海公園(人工なぎさ)演習(波、潮汐、海浜地形の計測や現象の理解)
・室内実験1:津波と堤防(津波と通常の波の違い、堤防の安定性)
・室内実験2:港湾レイアウトの検討(平面水槽実験による最適な港湾レイアウトの分析)

フィールド演習(必修)(3年次)

《概要》
個々の自然環境の特徴やその固有性を理解・感得し、自然に対する感受性や想像力を養い、シビルエンジニアとして、個々の環境の価値、その根拠、それらを改変する際に求められる倫理的態度について各自が考える演習です。豊かな想像力と感受性の涵養、技術者倫理について考える機会の提供、多様な価値観の理解と他に対する説明能力の訓練、リーダーシップとマネジメントの実践などを目指しています。
《演習内容》
・学年全員と多くの教員による三泊四日の合宿形式授業
・野外作業と密な議論を通じて、演習林の自然環境や生態系などについて観察・理解・体系化し、それを表現・説明する

空間情報学実習(3年次夏期)

《概要》
空間情報学Iの講義内容のうち、国土や都市をフィールドとする社会基盤の技術者が最低限理解しておく必要のある技術に関する実習です。国家基盤となる基準点測量を始め、GNSS・レーザ計測・画像計測などの最先端の計測技術に関する実習を行います。専門エンジニアによる講義やデモンストレーションなども行い、より理解を深めます。
《演習内容》
・測量機器による観測方法の習得
・水準測量、トラバース測量
・写真測量、写真判読
・GNSS・レーザ計測などの最新測量技術

応用プロジェクトⅠ(3年次A1A2)

《概要》
基礎プロジェクト1で取り組んだ都市計画・都市デザインスタジオの成果を下敷きに、様々なスケールの計画を編集・統合し、地域デザインの提案に取り組みます。均衡配分などの定量的な交通分析や現地踏査、ヒアリングなどを踏まえ、市役所、都市計画事務所、地域デザイン事務所、交通計画コンサルタントなどの複数のチームに分かれて、みんなでひとつの地域デザイン案の作成に挑みます。

応用プロジェクトⅡ(3年次A1A2)

《概要》
空間や地形の的確な読解に基づき、求められる機能や要件の総合化によって快適で魅力ある場所や風景を実現するための、基礎的な思考プロセスを養う計画・設計演習です。風景や都市に対する想像力と感受性の涵養、デザイン表現の基礎訓練と多様な価値観に対する理解力の育成、デザインという総合化の思考の体験、チームワークとリーダーシップの実践、デザインセンスの養成などを目指しています。
《演習内容》
・街路景観の大縮尺立面図の作成
・都市空間の調査・空間計画の立案
・都市空間(街路、広場、街並みなど)、構造物(橋梁、架構など)等の空間設計

応用プロジェクトⅢ(3年次A1A2)

《概要》
東日本大震災に伴う津波災害や台風ハイヤンによるフィリピンにおける高潮高波災害など、沿岸域における大規模な氾濫災害が頻発している。これらの災害は、自然科学的な問題であると同時に人の利害が複雑に相克する社会問題でもある。東京湾沿岸域では、埋立地と防潮堤で湾岸線を取り囲むことによって、標高が湾内の平均水位を下回る”ゼロメートル地帯”を防護しており、”想定外”の高潮による氾濫や、不測の事態により破堤や水門の無機能化が起これば、甚大な浸水被害が予測される。本演習は、地域/情報研究室と海岸研究室が共同で担当し、東京湾岸域における高潮に対する防災減災策に焦点を当てる。現地踏査や数値シミュレーション、GISを用いた分析を通じて、様々な想定に基づく氾濫浸水リスクを推定し、有効かつ実現可能な防災減災策の提案する過程を通じて、実践的な技術や考え方を習熟することを目的とする。
《演習内容》
・東京湾の高潮メカニズムと防災、環境保全・東京の地形とその変化(講義)
・東京湾における浸水シミュレーション
・ゼロメートル地帯の現地踏査
・GISを用いた浸水予測と社会データの結合、被害予測
・ネットワーク解析による避難計画

応用プロジェクトⅣ(3年次A1A2)

《概要》
構造材料としてのパスタの力学特性を理解し、パスタの特性を最大限活用した構造形式を計画・設計する演習です。与えられたレギュレーションを満たす構造物(橋梁)模型を作製し、試行錯誤を繰返しながら構造計画・設計の妥当性を検証する中で、構造デザインに関するセンス、構造力学・材料力学理論と現実の相違、工学的判断に基づく最適構造解の導出方法などについて学びます。
《演習内容》
・橋などの構造物の設計・施工についての事例紹介講義
・パスタの物性測定(引張強度、ヤング係数、座屈強度など)
・パスタ三角錐の載荷試験と構造ソフトによる解析
・パスタブリッジの設計・構造解析・エスキス・製作
・パスタブリッジ載荷試験(パスタブリッジコンテスト)

応用プロジェクトⅤ(3年次A1A2)

《概要》
複雑化する社会問題を背景に、世界的に社会イノベーションのニーズが高まっています。
本演習講義では、デザインプロセスを体験・学習することと、途上国における諸問題(例:交通問題、水質汚染問題、ゴミ処理問題等)を解決するための社会イノベーションを発想することを目的として、イノベーションワークショップを実践します。
《演習内容》
・既存のイノベーション(社会イノベーション、ソーシャルエンタープライズ、ビジネスなど)の事例分析
・問題解決メカニズムの上位概念化
・アナロジーを用いたイノベーションワークショップ
・途上国における現地調査(希望者)